自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

劇場版 そして、生きる

本編中にCMのないWOWOWで毎週、ドラマ版を見る自信がなかったのでパスしていた「そして、生きる」の総集編映画が公開されたので見た。典型的な総集編映画にありがちな説明不足の多い作品だった。感想としては、感動できるけれど酷い内容の作品って感じかな。
 
大震災絡みの話で、有村架純と坂口健太郎が出ていて、すれ違いの恋を描いている。しかも、東京と地方の双方が舞台となると、どうしても、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」を思い浮かべてしまうが、アレより酷い作品だった。というか、全然、大震災絡みの話にする必然性がなかった。大震災発生直前に「自信」ってワードを台詞に入れるか?あと、時計が映し出された時間が最初から2時46分ってのも、何だかなという気がする。45分から46分に変わる瞬間を見せた方がいいよねって思う。
 
あと、本作に限らず、一般世間でも、東日本大震災のことを震災って呼ぶのおかしいでしょ!東日本大震災以降、震度4以上の地震が何回あったんだよ!それは震災じゃないのか?ふざけんな!って思う。
 
それから、坂口健太郎がフィリピンに行く話もバブル時代の日本すごいを引きずっているなと思った。ぶっちゃけ、大震災発生以降の日本は後進国だろ。というか、大震災発生直前に世界経済2位のポジションを中国に奪われているんだしね。
 
あと、主人公の親友を韓国人にする必然性もないよね。主人公の元カレと付き合うことになる、この韓国人キャラは日本から何でも奪う韓国人を批判したくなるというネトウヨ的思想の反映か?って言いたくなってしまう。
 
そういえば、脚本が岡田惠和ってこともあって、かすみんの台詞の言い回しが「ひよっこ」っぽいところも多かったな…。
 
それにしても、いくら総集編映画、しかも、キー局ではなくWOWOWの映画とはいえ、かすみん主演作品が23区内で2館でしか上映されていない、しかも、1日フルで上映されるのが板橋のイオンシネマ1館だけとはね…。まぁ、イオンシネマは「ROMA」を率先して上映したり、安倍政権批判につながるような映画を上映したりと、東宝東映・松竹・ディズニーのような権力に反旗を翻していて、頑張っているなとは思うが、いかんせん、近場にイオンシネマがないから、頑張っている感が実感できないんだよな。

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