自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

「アナと雪の女王2」興行成績考察

※結末に関する描写があるのでご注意ください

 

「アナ雪2」が日本で前作ほど受けないのは、楽曲が前作より日本人受けしないからだという意見を言う人が多い。果たして、本当にそれだけなのだろうか?楽曲の一般受けが前作よりイマイチなのは確かだと思う。米国では、前作のメイン曲「レット・イット・ゴー」は、イディナ・メンゼルのキャスト・バージョンがビルボードの総合チャートでトップ10入りし、人気アーティスト、デミ・ロヴァートが歌うエンディング・バージョンもトップ40入りした。

それに対し、今回の「イントゥ・ジ・アンノウン」は同じくイディナのキャスト・バージョンはもう少しでトップ40というところで終わったし、パニック!アット・ザ・ディスコによるエンディング・バージョンはかろうじて100位内に入った程度だ。

なので、楽曲が前作に比べると印象が薄いという指摘は当たっているのかもしれない。

でも、米国では前作以上のヒットになっているし、中国や韓国では記録的な大ヒットになっている。

また、ここ最近のディズニー映画はポリコレ臭が強いので、政治的批判することを嫌う日本人が苦手としているからだなんて指摘をする人もいるが、これも違うと思う。実際、ヒット作も多いし。それに、ここ最近のディズニー実写化作品でいえば、世界的に見れば、「ライオン・キング」の方が「アラジン」よりヒットしているが、日本では逆だ。この両作のうち、どちらがポリコレ配慮が強いかと言ったら、「アラジン」だと思う。キャストの人種や、実写用に新たに挿入された楽曲の内容、設定の変更などを考えれば、それは確実。

というか、そもそも、「アナ雪」は1作目の時点で、マイノリティや女性の問題を取り上げた十分ポリコレ色の強い作品だったのだから、そういう批判をしている人は単なるネトウヨ的思想の人間なだけな気がする。

そうすると、日本で「アナ雪2」が現時点で前作の半分程度の興行成績となっている要因って、エンディングにあるんじゃないかなという気がする。ピクサー作品も含めたここ最近のディズニー・アニメーションって、「シュガー・ラッシュ:オンライン」、「トイ・ストーリー4」、そして、この「アナ雪2」といずれも同じ終わり方だからね…。主人公が新たな決意をし、仲間のもとを去っていくというもの。多分、日本人は長引く不況で保守的な思想に毒されてしまって、主人公が新たな決意をするってのが理解できなくなっているのではないだろうか。

90年代のディズニー作品でいえば、「アラジン」や「ライオン・キング」、「ターザン」なんてあたりは人気が高くても、「ポカホンタス」、「ヘラクレス」、「ムーラン」なんてあたりの人気が低いのは、せっかく、いい関係になった2人が結ばれず決別するエンディングだったからのような気がする。ノートルダムの鐘」も同傾向だけれど、あれは劇団四季のおかげで人気が出たのかな…。要はバブル崩壊以降、日本人はこういう切ないエンディングが苦手になったんだろうなという気がする。いっそのこと、バッド・エンディングの方が受けるのかもしれない…。

と、色々考察してみたものの、日本人って、海外ものって熱しやすく冷めやすいんだよね。映画にしろ音楽にしろ。あれだけ、大ブームになったレディー・ガガセリーヌ・ディオンマライア・キャリーだって今では、洋楽ファンですら注目しなくなっているからね…。ゴシップネタで騒いではいるものの、肝心の音楽活動はほとんどチェックしていないもんな…。

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