自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

星の子

芦田先輩、久々の実写主演映画ということで鑑賞。とりあえず、芦田先輩はめちゃくちゃ可愛いかった。演技力も頭脳も優れた方に、こんなことを言ってしまうのは失礼かもしれないが…。

そして、原田知世は何年も同じ見た目だが、永瀬正敏は完全にオッさんになったなと思った。それにしても、原田知世にダサいジャージーを着させて、頭の上にタオルをのっけさせるとは、そのビジュアルは強烈だ。

そして、芦田先輩と絡む若手女優陣も巧者揃いだと思った。

 

ただ、作品全体の感想を問われると、“うーん…”としか言えないんだよな…。

大森立嗣監督の前作「MOTHER」は、自分の子どもに犯罪に手を染めさせる。つまり、児童虐待をしている母親の話だった。にもかかわらず、子どもはこの母親と一緒にいるのが幸せという内容になっていた。

今回もそれと似た構図で、カルト宗教に深入りしてしまい、親族などから見たら迷惑でしかない両親と一緒にいたい娘の話となっている。(姉の方は家出してしまってはいるが)

 

現在のポリコレ的価値観で言えば、児童虐待もカルト宗教も絶対悪。つまり、虐待されて育った子どもは血が繋がっていようと、虐待する親から離れるのが幸せだし、親がカルト宗教にハマっているのであれば、子どもはその親から隔離されるのが幸せというのが現代の視点だと思う。でも、「MOTHER」や本作「星の子」では、やっぱり、実の親と一緒の方が幸せという流れになっている。欧米では受け入れられないよねと思った。

 

また、本作では未熟児でアレルギー体質だった主人公の赤ちゃん時代の描写もあるが、これも欧米では受け入れられない要素だなと思った。本当に未熟児やアレルギー体質の赤ちゃんを使ったのであれば、それは見せ物にしたと批判されるだろうし、メイクを施したのであれば、赤ちゃんの負担になることをするなと批判されるし、CGを使うほどの予算があるとも思えないし…。それに、女の赤ちゃんの裸を見せるのは児童ポルノ扱いされる恐れもある。

 

それにしても、モヤモヤ感の残る映画だ。まぁ、邦画中心に映画を見る人とか、邦洋問わずミニシアター系作品が好きな人とかは、こういうのを好むんだろうけれどね。

既にネット記事とかにもなっている親子3人で流れ星を見に行くシーンだけれど、肝心の流れ星を見せないのはダメでしょ!邦画派の人とか、ミニシアター派の人はそれがいいって言うんだろうが、自分みたいな邦画も洋画も大作もミニシアター系もアニメもドキュメンタリーも関係なく見る人間からすると、画で見せない映画はダメだよとしか言えないな。あと、家出した姉に子どもができたってエピソードで、なんだかんだあっても家族の絆は大切だよねみたいなまとめにしたんだろうけれど、これも「画で見せろよ!」って言いたい。本当、画で見せないところとか、ポリコレ感覚のなさとか(まぁ、最近のハリウッドのポリコレは異常すぎるけれどね)、邦画のダメなところばかりが目立つ映画だった。

 

≪追記≫

姉妹が親に隠れてスティックコーヒーを飲むシーンがあったが、コレって母親役で出演している原田知世に対するリスペクトかな?

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