自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

とんかつDJアゲ太郎

個人的には、問題を起こした俳優が出演している映画(やドラマ、舞台)の公開(や放送、上演)を中止にしたり延期したりすることに関してはケースバイケースだと思っている。

何でもかんでも「作品に罪はない。予定通り公開(放送、上演)しろ」と主張する人がいるが、それは違うんじゃないかなと思う。

薬物問題で逮捕された人間は、本人だけの問題なら公開(放送、上演)の中止・延期は過剰反応だと思う。

ただ、この人物が薬物の影響下で他人に暴力をふるったり、性的暴行を働いたりした場合は、それは被害者がいるので、公開(放送、上演)は中止もしくは延期すべきだと思う。

不倫などのスキャンダルに関しては、少なくとも日本では不倫は犯罪ではないので、公開(放送、上演)の中止・延期は不要だと思う。

窃盗や詐欺、傷害、殺人などを起こした場合に関しては言うまでもなく、即刻、公開(放送、上演)を中止・延期すべきだと思う。

そして、交通事故を起こしたケースについてだが、自分がガードレールにぶつかっただけとかならそこまでの処置は不要かもしれないが、今回の伊藤健太郎のように負傷者、つまり、被害者を出してしまった場合は即刻、公開(放送、上演)は中止・延期にすべきだったと思う。

ただ、チョイ役やゲスト出演の俳優の場合は被害者が出ていも、そこまでの処置は不要かなという気もする。

男優、女優のそれぞれのクレジットのトップ、男女問わず5番手くらいまでの演者、それに、助演や端役も含めたキャストの後に“and ○○”みたいにクレジットされる扱いの出演者に関しては、上記の対応をすべきだと思う。

だから、今回の「とんかつDJアゲ太郎」における伊藤健太郎は3番手のクレジットだから、公開は中止・延期すべきだったと思う。

伊藤が釈放されたから、おそらく予定通り公開されるのだろうが、「十二単衣を着た悪魔」は主演なんだから、これは問答無用で公開中止もしくは延期すべきだと思う。

何故、公開中止・延期すべきかというと、他の出演者やスタッフに迷惑をかけるからなんだよね。結局、公開初日(最近は金曜日初日が多いから2日目に公開記念という名目でやることも多いが)舞台挨拶を行っても、共演者や監督が謝罪をするはめになる。あるいは、謝罪しなければ、ワイドショーやスポーツ紙、ネットニュースに「事件についてはふれませんでした」と言われてしまうから。それは、作品のためにならないよね。

「作品に罪はない」論者の人たちは、作品が不本意なイメージを持たれることに関しては何とも思わないのかな?ただ、自分が見たかった作品が公開中止・延期になるのが嫌なだけでしょ?

しかも、こういう主張をする人たちって、自分が好きな俳優が出ている作品の時は、そういうことを言うくせに、そうでない時は逆のことを言っていたりもするんだよね。というか、何でも「公開中止しろ」という人もそう。

ピエール瀧新井浩文の時と、今回の伊藤健太郎で異なる主張をしている人、結構いるのでは?

イケメン無罪って言葉があるが、イケメンだから許していないか?

新井は在日だから嫌いってだけで公開中止しろって言っている人いないか?

ピエールはイケメン枠でないから支持するが、伊藤はイケメンだから許さないって人もいるよね?

そんなのじゃダメだよ!

 

まぁ、コロナ禍で製作・配給・宣伝・興行含めた映画各社は東宝以外は厳しい状況になっている。だから、少しでも収入を得るために公開中止・延期はしたくないという気持ちは分からないでもないが、被害者がいる以上は中止もしくは延期にすべきだったと思うな。

公開中止・延期せず、なおかつ、舞台挨拶を実施したのは、たとえ炎上したとしても、舞台挨拶をすればワイドショーやスポーツ紙が取り上げる。共演者が謝罪すれば、それは大々的に取り上げられるし、伊藤の件にコメントしなくてもそれはそれで「事件については語りませんでした」と報道される。つまり、いずれにせよ作品名が世に出る。つまり、コロナ禍で厳しい財政事情なんだから、プロモーションになることなら何でもやってしまえってことなのかな?

 

そして、被害者といえば、「被害者が公開中止しろと言っていないんだから、公開中止する必要はない」なんて主張する人が結構いたが、アホかと思ったな。普通、自分をけがさせた奴の顔なんて見たくないでしょ。映画やドラマで、家族の命を奪った者やその親族が葬儀に訪れた際に遺族がその者を追い出すシーンってのをよく見ると思うが、そういう気持ちになるよね、普通。わざわざ被害者が声明出さなくてもね。本当、「作品に罪はない」論者って自分勝手だよね。

 

それにしても、伊藤の釈放ははやかったな。スポーツ紙が被害者の姉が元アイドルという記事を出した際は、「そんな個人情報必要ないだろ!」と思ったが、結構、重要な情報だったんだな。芸能界の力関係でいえば、伊藤の方が上だから、元アイドルの弟である被害者は示談させられたってことかな?芸能界って汚いね。

 

そして、伊藤健太郎の釈放時の様子を見ていると、反省しているようには見えないな。コロナ禍なんだから、謝罪コメントを言う際にわざわざ、マスクを外す必要はない。でも、外すってことは自分は俳優なんだから、何かをしゃべる時にはきちんと顔を見せなくてはいけないって思っているからでは?つまり、容疑者になった人間としてではなく、俳優として謝罪している演技を見せているだけなんだよ。本当、腹立つな。

今まで、映画やドラマで伊藤健太郎は好青年に見えていたが、実際はクソ野郎だったんだな。まぁ、好青年に見せていたということは、それだけ演技力があったということでもあるのだろうが。

 

ところで、「とんかつDJアゲ太郎」も「十二単衣を着た悪魔」も伊藤と、薬物問題で逮捕された伊勢谷友介が共演しているんだな…。ほぼ同時期に公開される映画2本に最近逮捕された俳優2人が揃って出ているというのは、いかに日本の映画やドラマが、その時売れている一部の俳優のローテーションで作られているかが、つまり、作品重視ではなくキャスティング重視で作られているかが分かるな。

 

何か、俳優の犯罪行為の話ばかりしているな…。だから、こうなるから、問題起こした俳優の出演作は公開中止・延期にすべきだと思うんだよ。冷静に見られなくなるしね。

 

ということでネタついでにというか、出演者の不祥事の影響で批判が高まり、打ち切りになるかもしれない。というか、コケそうなニオイがプンプン漂っているので、そちらの理由で打ち切られそうな雰囲気もするので、とりあえず見ることにした。

 

渋谷で見たが、結構、客入りが良かった。作品の舞台が渋谷、伊藤健太郎が事故を起こしたのも渋谷区内ということも関係あるのかどうかは知らないが、7割くらいの客の入りと結構、盛況で驚いた…。まぁ、渋谷以外ではガラガラなのかもしれないが。

 

とりあえず、そこそこ面白かったが、主人公の成長というのがイマイチ描かれていなかったという気がする。デビューの場でミスった主人公が簡単に立ち直りすぎる。カンフー映画ではないが、再特訓の場面とか必要では?まぁ、今の若い観客はそういうものを求めていないのかもしれないが。

 

それから、この作品で描いているのって、クラブ・シーンではなくディスコでは?一番盛り上がる曲がベリンダ・カーライル「ヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アース」って、完全にターゲットが40代後半から50代半ばでしょ!踊りもディスコだしさ…。

 

ところで、WOMBが舞台になっていたけれど、ここに出入りするDJ役が伊勢谷友介って、なかなかチャレンジングだな…。あと、伊藤健太郎は途中までは感じ悪い演技を見せていたが、アレが本性なんだろうね。

 

それはさておき、伊藤健太郎伊勢谷友介だけではなく、伊藤沙莉も「とんかつDJアゲ太郎」と「十二単衣を着た悪魔」の両方に出ていたんだな…。

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