自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

さんかく窓の外側は夜(ちょっとネタバレ)

大きめのスクリーンで上映したり、上映回数を増やしたりしているシネコンが多いが、それって、「エヴァ」の公開が延期になった穴埋めなのかな?

 

それはさておき、霊が見える青年が事件を解決するというストーリーらしいということで鑑賞することにしたが、途中から全然、霊視は関係なくなり、呪いの話になってしまっていた。しかも、その呪いは新興宗教絡みのものというのが分かり、何だ、このクソみたいなストーリー展開はと思った。

 

そして、霊的能力を持つ主要キャラ3人のうち、2人は呪いで人を殺したことがある経験者で(しかも、このうちの1人は呪いで金儲けをしようと画策している)、残りの1人もいくら相手が自分をいじめていたグループのメンバーとはいえ、霊に取り憑かれた同級生を見殺しにしている。

なのに彼等には何の社会的な罰も与えられない。そんな登場人物たちに共感なんてできるわけないのに、感動的なBGMをかけて、無理矢理、共感させようとさせるから余計に腹が立つ。

 

それから、バラバラに切断された遺体のシーンの直後に焼肉のシーンを入れるのも悪趣味すぎる。

 

結局、この作品って、原作も含めてBL好きのためのいわゆる古い言葉でいうところの“ヤオイ系”なんだろうね。

イケメンが密着していれば、話なんかどうでもいい、そういう腐女子の欲求を満たすためだけの作品なのかな。

やたらと、霊を見るシーンでイケメン2人が密着するし、そのうちの1人が霊を見るために眼鏡を外すとイケメンの“素顔”があらわになるってのも、腐女子を喜ばすための演出なんだろうね。

 

あと、その主要キャラの1人を元・欅坂46の平手が演じているが、ぶっちゃけ、アイドル映画の演技の域を出ていない。現在の女子アイドルにしては珍しく卒業という綺麗事の言葉ではなく、脱退という言葉を使って欅坂を抜けたので、脱退後の活動は本気なのかと期待していたが、単なるアイドル演技をしているだけなのだから呆れてしまう。

そして、平手といえば、最近、この映画とは関係ないが、ソロ曲もリリースしている。しかし、その楽曲は欅坂時代と大して変わらない音楽性だった上に、劣化したK-POPみたいなダンスを披露している。

「平手と愉快な仲間たち」と揶揄されたくないから、本物と認められたいから、平手は脱退し、欅坂は櫻坂46と名前を変えたはずなのに、平手も櫻坂も欅坂時代と大して変わらないことをやっているんだから、一体、何がしたいんだろうかって言いたくなる。

結局、平手がワガママなために、欅坂は崩壊したという噂は真実だと思われても仕方ないよねと思う。

 

そういえば、和久井映見が闇を抱えた青年のやけに物分かりのいい、でも、若干ウザい母親を演じていたが、そのキャラ設定って母と息子の2人暮らしという設定ともあわせて、まんま、テレビドラマ「姉ちゃんの恋人」と同じだよなと思った…。

 

それにしても、「さんかく窓の外側は夜」ってタイトルだが、“どっちかの夜は昼間”(DA PUMP「U.S.A.」)みたいな語感だよな…。

 

ところで、本作の主題歌とオープニング曲は夜好性と呼ばれる3大アーティストのうちの1組(1人?)、ずっと真夜中でいいのに。(通称:ずとまよ)が担当しているが、最近、ふと思う。この3大アーティストの勢力図ってガラリと変わったよなと。

コロナ禍(正確には最初の緊急事態宣言)に入って間もない頃までは、圧倒的にヨルシカが強くて、それを新鋭のYOASOBIが猛追し、ずとまよは3者の中ではマイナーな存在って感じだったが、去年の秋くらいからは圧倒的にYOASOBIがフロントランナーとなってしまい、それをずとまよが追い、ヨルシカはオワコン臭が漂うみたいな感じになってしまったような気がする。

YOASOBIは顔出しでパフォーマンスするし、テレビ番組にも出演する。ずとまよは、YOASOBIのようにハッキリと顔出しは今のところしていないもののNHK番組への出演も予定されているし、本作や「約束のネバーランド」といったメジャーな実写映画の主題歌も担当している。それに対して、ヨルシカはアニメ映画やニュース番組のタイアップはあるものの、テレビ出演などのメジャー仕事は敬遠傾向のまま。それが影響したのかなって気もする。今の若い世代はテレビを見ないって言われているが、結局、テレビが人気拡大には欠かせないってことなんだろうね。

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