ヤクザと家族 The Family(ネタバレ含む)
本作を見たいと思った理由は2つ。
①藤井道人監督作品だということ。
②ヤクザの人権問題をテーマとして扱っていること。
まずは①について。
「デイアンドナイト」、「宇宙でいちばんあかるい屋根」といった清原果耶出演作品やのほか、パヨクに絶賛され、ネトウヨに酷評され、日本アカデミーの最優秀作品賞を受賞してしまった「新聞記者」といった具合に最近、話題作を連発している監督の新作だから、チェックしておきたいと思った。
「新聞記者」に関しては個人的には過大評価だと思う。パヨクもネトウヨも自分たちの支持政党の思想をもとに作品を評価しているが、安倍晋三も自民党も東京新聞も実名で出てこない映画を、“政権批判に踏み込んだ勇気ある作品”と絶賛するのも、“安倍政権を揶揄する反日映画”と酷評するのも違うだろうと思う。
ただ、清原ちゃんと組んだ2作品に関しては、この組み合わせは相性が良いので今後もコンビを続けて欲しいと思うくらい好きなので、とりあえず、鑑賞することに決めた。
映像表現に関しては、いかにも藤井作品という感じだった。「デイアンドナイト」ではやたらと、風車の風景が映されていたが、本作では煙突が何度も登場していた。あまりにもしつこく登場するので笑いそうになってしまったが…。
それから、過去パートの画面サイズはスコープなのに、現代パートはビスタになっていた。そして、そのパートだけ、やけにテレビドラマっぽく見えた。ヤクザのような型破りな人間が生きにくくなった現在の日本は何もかもがスケールが小さくなったとでも言いたいのか?
あと、藤井作品に限ったことではないが、劇中に登場するニュース番組で読まれている原稿がおかしいんだよね。だから、いくら社会派ぶったテーマを掲げていてもリアリティがないんだよね。日本の映画やドラマの関係者って、ニュースも見ないし、新聞も読まないんだろうね。そんなので社会派を気取ってはダメでしょって思う。
それから、主人公が出所して14年ぶりに再会した女性に子どもができていたという展開は予想通りのものだったが、その子どもの年齢が14歳っておかしいだろ!逮捕される直前にした行為でできた子どもでしょ?13歳じゃないとおかしくないか?
この子ども、清原ちゃんが演じてもおかしくないような役柄だけれど、最近の清原ちゃんは一気に大人顔になってしまったから、違う女優になったのかな?
そして、その女性を尾野真千子が演じているが、14年前のシーンではヤクザが運営するナイトクラブで働きながら学ぶ女子大生という設定だった。
その時に、綾野剛演じる主人公から“老け顔で学生に見えない”と言われていたのは、尾野真千子に女子大生も中年女性も演じさせるための苦肉の策か?
あと、2005年のシーンで“老害”という言葉が使われていることにも違和感を抱いた。勿論、昔からある言葉だけれど、この頃はそんなに日常で使われていなかったと思う。まだ、“ロートル”という古い言葉の方が使われる機会があった時代だと思う。
それにしても、millennium paradeによる主題歌はほとんど、King Gnuの曲にしか聞こえなかったな…。まぁ、同じ人間が関わっているから似ていてもおかしくないんだけれど、millennium paradeは洋楽寄りのサウンドってイメージだったからな…。
といった感じで、藤井道人作品として期待しながら見た上での感想を長々と書いたが、本作を見たいと思った最大の理由は実は②の方が大きい。
こうやって、ヤクザにも人権があると訴え、しかも法改正によって、ヤクザはヤクザをやめても生きにくくなっている。じゃ、どうすればいいんだ?みたいな、やたらとヤクザに同情する作品が作られるってことは、映画界や芸能界って同じ穴の狢ってことなのかな?しかも、同時期に公開予定の「すばらしき世界」も同じテーマだしね。
そして、本作の藤井道人監督にしろ、「すばらしき世界」の西川美和監督にしろ、どちらかといえば、左寄りの作風のイメージがある監督という共通点もある。藤井道人監督に関していえば、「ナイトアンドデイ」で悪事を働いたヒロインに対するお咎めもなかったし、「新聞記事」では根はいい人かも知れないが、悪事を働いた役人にやたらと同情的な描写だったし、なんなんだろうかね?左寄りの人たちのこういう考え方って?あれだけ、自民党に対してはヒステリックな批判をしているのに、それとはまるっきり、逆なんだよね。
上級国民・飯塚耕三の“事件”の時も何故か、リベラルや左翼、パヨクは法律的には問題ないと飯塚耕三をかばっていたしね。どちらかといえば、飯塚耕三は自民党に近い立ち位置の人間なのにね。
そして、ヤクザや上級国民の人権も守れと言いながら、結構、外国人に対しては差別的な態度を取ったりする。本作でも、アジア系ヤクザに対するテンプレ描写は限りなく悪意のあるものだしね。ネトウヨはよく、リベラルや左翼、パヨクは外国人に日本を乗っ取らせようとしているみたいに言うけれど違うと思うな。実はネトウヨ以上に拝外主義なんだよね。
結局、ヤクザや上級国民の人権を訴えているのって、結局、リベラルや左翼、パヨクっていった連中に、そういうのが多いからなんだろうね。
個人的にはヤクザには人権なんて不要と思っている。違法行為をしているし、彼等はまともに税金も払っていない。そんな連中に人権も何もあるかと思う。でも、この映画はラストシーンが泣かせるんだよな。ムカつくけれど、ウルウルしてしまった…。
といった具合に、私はヤクザを毛嫌いしているが、それには理由がある。
それは自分の血筋にヤクザがいたからだ。母方の祖母の甥にあたる人物だ。この人物と最後に会ったのは、その祖母の葬儀の時なので、19年と数ヵ月前のことになる。今、この人物が生きているのか、どこで何をしているのかは知らない。縁を切っているし。
家族は子どもの頃はごまかして、テキヤと呼んでいたが、ある程度、自分が成長してくると、彼が組長だということが分かった。完全にヤクザだったということだ。
彼はしょっちゅう、金銭トラブルを起こしていたらしく、自分が子どもの頃、よく我が家にやって来て、祖母に金を借りに来ることがあった。祖母が追い返していたところを見たこともあったが、そうやって何度か来たってことは、「問題児だけれど可愛い甥っ子」(「男はつらいよ」みたいな感じか?)の思いで貸すとは名ばかりで、実際には金銭を渡していたこともあるんだろうなと思う。
そのくせ、偉そうなんだよね態度が。祖母の葬儀の時もやたらと、こっちの批判ばかりしていたからね。“勉強ばかりできたって仕方ない。いい仕事をしていても関係ない。お前は人間としてできていない”みたいなことを言いやがったから、本当、腹が立った。その場が葬儀会場でなければ、ブチ切れていたと思う。
自分がロクに勉強もせずに、不良行為を働いていたせいで、学校もまともに卒業できず、まともな仕事にも就けなかっただけなのに、それを妬んで、こっちをdisるなんて、本当、キンタマの小さい奴としか思えないからね。そんな、クソみたいな奴らが親戚にいるなんて本当、腹が立ったな。ぶっちゃけ、とうの昔にコイツが死んでいることを願っている。
とはいえ、親戚だから、コイツの一家と全く関わらないわけにもいかなかったんだよね。祖母が他界するまでは。
母親は何度か、この一家のテキヤ稼業の手伝いに駆り出されたこともあったし、自分もこの組長と直接組むことはなかったけれど、高校生の時に、2回、手伝ったことがある。1回は年末のしめ飾りの露店の手伝い。もう1回は避暑地での飲食系露店の手伝い。
後者の方は清里で行われた「レトロフェスティバル」(80年代半ばくらいにレトロという言葉が流行ったが、この時点では既に“古い”言葉扱いになっていたので、ダサいネーミングだなと思った)とかいうイベントの会場で出店している露店の手伝いだったんだけれど、これで、いかにテキヤの連中が反社会的な連中かってのを知ることができた。会場で出たゴミを会場からちょっと離れた森に投げ捨てていたんだからね。ふざけんなって話だよね。
そして、1日の営業が終わっても、何個売れたとかの報告は一切しないんだよね。つまり、帳簿も何もつけていないってこと。当然、税金だって、まともに払っていない。こんな連中に人権なんて必要ないでしょ!
まぁ、そのヘボ組長の悪事のせいで、彼と近しい人に次から次へと不幸が訪れたのは、言い方は悪いが天罰なのかな?
彼の姉は50代で突然死したし、甥は半身不随になったのかな?それから、その妹は自分と同じ年だけれど、元々、体が弱かった上に、大人になって、精神を病んでしまい自死してしまったのかな?
先述した「レトロフェスティバル」の会場で彼女とは久しぶりに会ったけれど、その時は病気も落ち着いていたし、メンタル面もやられていなくて、普通のスクールカースト上位の女子高生って感じだったけれどね。スクールカースト下層か、カーストからも外されているような立ち位置の自分とは全く違う環境のはずなのに、普通に会話していたんだよな。レベッカの話をしたことを何となく覚えている。確か、自分は「MOON」が好きと答えたような記憶がある。
そんなワケで、親類に腹立つヤクザがいる(いた?)せいで、全く、ヤクザに人権を与えようなんて気は起きない。ああいう連中は、それまで、さんざん、世の中に迷惑をかけてきたんだから、ヤクザを廃業した後に、まともな仕事に就けないとか、何とかボヤいているが、自業自得としか思えない。業務上の過失で人を殺してしまった人や、自分をいじめた人間に復讐してケガさせた人、仕事の疲れで居眠り運転して人を巻き込んでしまった人みたいな元犯罪者には人権はあるべきだし、出所後のケアもすべきだと思う。でも、ヤクザとかチンピラ、半グレ、ヤンキーみたいな連中には人権なんて与える必要はない!
と、ヤクザ的な連中の存在を否定してきたが、実はヤクザ的な連中が世間から排除されたおかげでダメになってしまった分野もあるんだよね。それは露店なんだけれどね。
テキヤでない業者が並ぶことによって、やたらと横並び価格で高くなってしまったけれど、あの程度の味のもので、あの価格にするなら、祭や花見会場のすぐそばにあるコンビニで買った方が、味も良く、衛生面でも安全で、しかも、安いものが買えるしね。
結局、人件費だなんだを考えた上で、きちんと確定申告するとなると、あのボッタクリ価格になってしまうってことなんだろうね。
それから、一部の会場ではPTAとか町会の連中が露店を出したりするようになったけれど、その結果、火災を起こしたりなどのトラブルが発生するケースが増えるようにもなった。テキヤは露店のプロだけれど、PTAとか町会の連中は素人だからね。そういう連中が火を扱ったりしたら、そりゃ危険だよねって感じかな。