自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

第32回東京国際映画祭「マリッジ・ストーリー」

賞レースに絡みそうなネトフリ映画をスクリーンで見られる貴重な機会なので、普段はしないが、今回は公私混同して権力?を使って「マリッジ・ストーリー」を見た。

これは主要部門ノミネートされる作品だと思う。すごい!

主演2人の演技もすごい。長台詞も多いしね。そして、感心したのは、男が見れば夫に、女性が見れば妻に共感するし、夫に対しても妻に対しても、問題のあるところはしっかり描いていること。こういう題材の映画だと、女性の主張が100%正しいみたいなものが多いが、これは、きちんと、中立に描いているんだよね。本来、ポリコレって、そういうもののはずなのに、最近は、黒人や女性の主張は全て正しい。トランプ政権を少しでも評価してはいけないみたいな風潮があるからね。個人的には、作品・監督・主演男優・主演女優・脚本・作曲はノミネート有力。助演女優・撮影・編集あたりも可能性ありかなと思う。

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ちなみに、権力を使って鑑賞したことに後ろめたさを感じるのは、マスコミ関係者に多い、「業界人だから映画や演劇、コンサートなどは自腹で見るものではない。試写会で見たり、招待されたりして見るものだ」という考えが大嫌いだから。

そういう連中というのは、大抵、マスコミ試写とかで映画を見た時に、エンド・クレジットが流れ出したと同時に席を立つ連中だと思う。

こいつらは、業界人の特権を満喫しているという優越感に浸っているだけなんだよね。

だから、タダで見ることしかしない連中ってのは、知識や教養、経験などといったものが、全然、蓄積されていかないんだよね。何百本映画を見てもね。

公開前にコメントを発表することが仕事の評論家は別にすれば、いくら、マスコミ関係者とはいえ、取材するために事前に作品を見る必要があるとか、付き合いがあるので招待を断るのも申し訳ないとか、名目がきちんとある場合は別だけれど、そうでなければ、特権に浸ってタダ見なんかすべきではない。少なくとも、プロのマスコミ業界人として精進する思いが少しでもあるなら、なるべく、自腹で作品は鑑賞すべきだと思う。

かつて、渋谷陽一は「身銭を切って見ないと身につかない」みたいなことを言っていたしね。だから、彼は招待されていないコンサートは自腹で見ていたんだよね。あれだけの権威なのに。プロって、そういうものだと思う。

 

ところで、東京国際映画祭の略称のアルファベット表記TIFFは世界の映画業界的にはトロント国際映画祭のことだし、読み方のティフ(Fが一個少ないが)はTOKYO IDOL FESTIVALの略称として、業界関係者やマスコミのみならず、一般アイドルファンにも定着している。なのに、TIFFもしくはティフの略称を主張する東京国際映画祭はやっぱり、空気が読めないよな。というか、一般映画ファンで東京国際映画祭TIFFもしくはティフと呼んでいる人間なんてほとんどいないし…。

そして、毎年言っているが、本当に年々、国際と名乗るなと言いたくなるほど、単なるワイドショーやスポーツ紙向けの国内芸能イベントになっている。なのに、TIFFもしくはティフの略称を主張する東京国際映画祭はやっぱり、空気が読めないよな。

そもそも、コンペ上映作品がたったの14本しかなく、そのうち2本が邦画っておかしいだろ!

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