自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ハケンアニメ!

舞台を見たの久しぶり。今やっている仕事、スケジュールがコロコロ変わるから、なかなか舞台を見に行けないんだよな…。

アニメ(に限らず映像制作の現場のほとんどがそうだが)にはフリーを含めた非正規労働者が多いという意味での「派遣」。
アニメの放送形態が1クール終了の深夜アニメが中心となり、アニメの制作スタッフは、正社員であっても、1クールごとに毎回、現場がかわる実質「派遣」労働者のようなものになっている。
1クールアニメが増えたことによって、アニメファンの間で、その期で一番人気があった作品、あるいは、本作では触れられていないがストーリーや演出、作画、演技などがすぐれている作品。もしくは、後世に語られそうな作品なんかを「覇権」アニメと呼ぶようになった。
という、色々な「ハケン」をミックスさせて、ストーリーが作られているのは、多少なりとも、アニメに興味がある人間ならすぐに想像できるが、そういう期待通りの内容だった。泣けたし。まぁ、1クールアニメの話、つまり深夜アニメの話なのに、子ども向けグッズの話をしているのは何か違くないか?とは思ったが。

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とりあえず、中途半端な立ち位置のクリエイティブ職の人間なら誰でも共感できると思った。ここでいう中途半端なクリエイティブ職ってのは、無名の人間とか、スランプに陥った人間とか、不本意な仕事をしている人間とか、そういう立場のクリエイティブ職の人間のことなのだが、本当、最近、そういうのを題材にしたエンタメ作品多いよな。アニメ映画の「空の青さを知る人よ」や「冴えない彼女の育てかた」もそうだったし…。それだけ、日本のクリエイティブ職の現場には閉塞感が漂っていて、ストレスが多く、前近代的で、報酬も自由も少ないってことなんだろうな…。

ところで、本作は、内容に興味を持ったアニメファン、原作小説が好きな読書家、主演女優が好きなアイドルオタク、主演男優が好きな2.5次元系舞台や特撮系のファン、さらには、制作に吉本が絡んでいるのでお笑い好き、そして、もちろん、演劇ファンと、実に色んな層にアピールする舞台となっているが、自分はその中では主演女優に興味があって見た派かな。
みなるんの演技に興味を持つようになったきっかけは、今はなき番組「AKB48SHOW」でやっていたコント「妄想少女」シリーズだったのだが、AKBグループのゴタゴタなどがあり、番組が終わってしまったのは残念だな。
自分が演技者としてのみなるんに注目したように、色々な発見が出来た番組だったのだが。そういう場がなくなってしまったのは残念だな…。

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