自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

新たな現場で1クール無事終了!勤務時間や作業内容について考えてみた

7月から担当番組も変わったし、間に入っている会社も変わったし、契約形態も変わったし、色々と労働環境も変わったので、どうなるかと思ったが、何とか無事1クールを終えることができた。

 

以前の担当番組では番組と間に入っている会社の両方から勤怠データの提出を求められていた。だいたい、月20日勤務として単純に1日8時間労働とすると、月160時間になる。そして、この番組では月45時間以上残業するなというお達しがあったので、超えそうな時は休み時間を多く取ったことにして、ギリギリ45時間以内におさめるのが日常的だった(まぁ、コロナ禍になってからは、密になる会議が減ったおかげで残業時間が45時間を超えることはなくなったけれども)。でも、実際はほとんど、トイレ休憩(愛煙家は喫煙も)以外の休憩がないのに、泊まり明け勤務では3時間、日勤では1時間の休憩を取ったとして勤怠報告することが義務付けられていた。つまり、月当たり25時間ほどはサービス残業をしていたことになる。つまり、それらを全て合わせると、月間の労働時間は230時間ほどあったという計算になる。

 

現在の担当番組では、番組からも間に入っている会社からも勤怠報告を命じられていなかったので、最初のうちは何も考えていなかったが、8月の後半あたりから、ふと、個人的にアプリを使って記録してみようと思うようになった。そして、初めてフルで1ヵ月、記録を取った今月のデータを計算してみると、163時間ちょっとだった。1日8時間労働の月20日勤務で計算すると、月間の残業時間はわずか3時間しかなかったことになる。意外だ…。

 

何故、意外かと思うと、コロナ禍によるテレワークによって、作業時間帯が不規則になったから、負担が増えたのではと考えていたからなんだよね。だから、勤怠を個人的につけてみようと思ったんだけれどね。

 

以前の担当番組はプロデューサーやチーフなどが、80年代よくて90年代で思考が止まっているパワハラ老害だらけなので、コロナ禍になっても、テレワークは月に1日とか2日というレベルだった。でも、今の番組は原則、隔日でテレワークとなっている。そして、打ち合わせもリモートというのが増えている。

 

とはいえ、このリモートの打ち合わせというのが厄介なんだよね…。対面が当たり前の時の打ち合わせは、なるべく、せいぜい数時間の残業で済むような時間帯に終わるように設定されていたが、家にいるなら遅くてもいいでしょみたいな風潮になっているんだよね。だから、出社・テレワーク問わず通常業務が終わってから打ち合わせまで、中5時間とかあくことも頻繁に起きてしまった。と同時に、台本作成とかもいつでもできるよね?みたいな雰囲気となり、以前だったら作業していなかったような金曜日の夕方とか土日にも作業することが増えていた。なので、かなりの残業時間が増えたのではと、正直思っていた。でも、たったの3時間残業で済んでしまった…。

 

結局、テレワークになって、意外と時間が自分の好きなように使えるようになったってことなんだろうな。対面の打ち合わせだったら、中2時間ではほとんど何もできないけれど、テレワーク中のリモートの打ち合わせだと、その2時間の間で買い物したり、録画していた番組を見たりとか仕事以外のこともできるし、結構、時間が有効に使われているんだなというのを実感した。

それに台本作成も在宅だと自分のペースでできるしね。オフィスにいると、その部屋を使える時間とか気にしながらの作業になるしね。在宅なら、シフト上で休みになっている日の数時間だけ集中的にやれば作業できるみたいなところもあるし、合間で他の仕事以外の作業もできるし、意外と仕事に追われる感じにはなっていないということが分かった。

 

まぁ、今担当しているのが、スタジオ構成やありもの素材の活用が多い番組だから、在宅でできるのかもしれないけれどね。バラエティやドキュメンタリーのディレクターでは、こうはいかないんだとは思う。報道情報系のディレクターだから台本作成やリサーチが家でもできるんだろうなとは思ってはいる。

 

でも、あいた時間を有効活用してはいるものの、在宅だとメールなり何なりで、いつ連絡が来るか分からないので気が落ち着かないというのはあるかな。オフィス出社なら、帰ってしまえば、ある程度は知らないよってフリすることもできたけれどね。

 

時間を有効利用できる人、というか、公私問わず複数のミッションを同時に進行できる人にとってはテレワークはかなりありなのかもしれない。ただ、家にいても完全に仕事から開放されず、緊張感があるのは疲れるけれどね。

 

まぁ、在宅なら作業の合間に動画見たりして気休めもできるからね。それはオフィスだと難しいよね…。

 

今回のテレワークでも、メールの打ち返しとかが来るのを待っている時間は労働時間にカウントしていたのに、それでも、わずかな残業時間で済んだのだから、いかに、オフィス勤務では無駄な待機時間が多いのかが分かったってところかな。

 

ところで、今の現場では久々に卓に座ることになったのだが、これが苦痛なんだよね…。7〜8年前は一応デスクとかチーフとかいう指揮官の肩書きなんだから、卓に座らずに後ろでチェックしていろとP側から言われたのがストレスで自ら卓に座りたくて仕方なかった。でも、ここ3年半ほどの間についた番組は、基本、局や大手プロダクションの正社員しかデスクとかチーフになれない番組ばかりで、しかも最近はコロナ禍による班わけ体制で人手が足りなくなったこともあり、卓に座ることになった。あれだけ好きだった卓に座る仕事が今ではストレスでしかない…。何故なんだろうか?

 

自分で言うのもなんだけれど、この年にしては機材操作を覚えるのははやいと思うんだよね…。だから、そういうストレスではない。やっぱり、スイッチャーに文句を言われるのがストレスになっているのかな?

この年になって、制作側の自分より若いスタッフが見ている前でスイッチャーとかから文句を言われるのがプライド的に耐えられないってことなのかな?確かに、自分が毎日のように卓に座っていた時は、制作スタッフというのは同世代も年上も多かったけれど、今はPを除くと、自分より年上なんていないからな…。

あと、見た目が年齢不詳だからなめられるってのもあるよな…。年相応の見た目だったら、スイッチャーもカゲでは悪口を言っても目の前では文句を言わないだろうしね…。実際、今までの現場でも、そういう風景はよく見てきたしね…。やっぱり、仕事上では老け顔の方がトクなのかね?

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