自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

アダムス・ファミリー

映画ファンを長年やっていると、結構笑えた(感動したでもいいが)のに睡魔に襲われそうになる。あるいは、非常に退屈だったが見て良かったと思う。そういう映画にちょくちょく遭遇することがある。本作はまさに、そういうタイプの作品だった。

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一言で言えば、色んな点で惜しい映画だった。基本的なメッセージは「人種・性別・宗教・文化などの異なる人たちを差別してはいけない」だと思う。要はBlack Lives Matterの運動にも通じるし、女性が活躍しやすい世の中にしようとか、LGBTQ(世界的にはこの言い方が一般的なのに日本ではリベラル思想の人や左寄りのメディアですらLGBTって言うんだから、いかに日本がこの問題に鈍感かが分かる)に対する差別・偏見をなくそうという動きにもつながるはず。

でも、悪役は白人女性で、その女性のアシスタントは黒人男性だからね…。女性や黒人を敵にしたのでは、今のご時世では評価されないよね…。

 

というか、今回のアニメ映画版でアダムス一家を追い出そうとする悪役やその悪役にそそのかされた市井の人々って構図は、「美女と野獣」の“夜襲の歌”の展開そのままだよね…。まぁ、先導した者のその後の扱いは違うけれどね。

 

ところで、90年代に作られた実写版「アダムス・ファミリー」2作品では、それぞれ、ハマー、タッグ・チームと公開時に人気のあったラップ系アーティストが主題歌を担当していたけれど、今回もラップ系主題歌というのは引き継がれているのか。まぁ、ミーゴスという若干、旬の過ぎたアーティストになってはいるが。そして、この主題歌にはスヌープ・ドッグも参加しているのか…。

そういえば、スヌープは今作には声優としても参加しているが、全く何を言っているか分からない役だった。登場シーンに丁寧に全米ナンバー1ヒット曲「ドロップ・イット・ライク・イッツ・ホット」をかけてくれるというのは大サービスだなと思った。

それから、キャストによるR.E.M.“エヴリバディ・ハーツ”のカバーも良かった。

 

こうやって、色々と見どころはあるのに、何故か、見ていてかったるく感じるんだよな…。本当、惜しい…。

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