自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

2019年ベスト・ソング(洋楽編)

①バッド・ガイ/ビリー・アイリッシュ

こういう言い方はあまり好きではないが、あえて使うとすれば、ビリー・アイリッシュが受け入れられない人は、そこまで言わなくても、少なくともこの「バッド・ガイ」が受け入れられない人は、ミュージック・シーンの動きについていけず、90年代、あるいは80年代、もしかしたら70年代で思考が止まってしまった「老害」と言っていい、そんな1曲だと思う。ちなみに。この曲が主題歌に使われていたホラー映画「ブライトバーン/恐怖の拡散者」はクソ映画だった。

②ヘヴン/アヴィーチー

コールドプレイのクリス・マーティン参加曲。

本当、アヴィーチーとコールドプレイの相性はいいと実感。

2014年にリリースされたアヴィーチーが参加したコールドプレイの「ア・スカイ・フル・オブ・スターズ」はめちゃくちゃアンセミックな曲だっだが、今回のコラボも最高だった。コールドプレイはザ・チェインスモーカーズとの「サムシング・ジャスト・ライク・ディス」も名曲だったから、EDMとの相性はいいんだろうなと思う。

それにしても、ロックが売れなくなった2010年代でもコンスタントにヒット曲を出していたコールドプレイが10年代最後の年にリリースされたアルバムが全米チャート初登場7位に終わり、しかも収録曲が1曲もシングル・チャートにランクインできないなんてことになってしまうとは…。本当、ストーリーミング時代になって、ロックはフェスなどライブの現場以外では聞かれなくなってしまったんだなというのを実感する。

③トゥーソン・トレイン/ブルース・スプリングスティーン

誰が聞いてもボスと分かる曲。一体、いつになったら日本公演は実現するのだろうか。

まぁ、最低でも東京ドームクラスでないと、ギャラがペイできないだろうし、ボスが東京ドーム公演を満員にできるとは到底思えないので難しいのかな…。

そもそも、今回のアルバムではツアーもないし。

④サークルズ/ポスト・マローン

一応ヒップホップにカテゴライズされているアーティストだが、この曲はラップというより歌だし、サウンドも90年代前半のオルタナって感じ。正確に言うと、グランジとルーツ系(カントリーやブルース)が混ざったようなタイプの、ソウル・アサイラムとか、あの辺の音楽に近い感じ。それにポップ度を加味したって感じかな。

ひと昔前だったら、こういう音楽はロック・ファンにもヒップホップ・ファンにも嫌われたが、今ではどちらからも好かれているんだよな。それから、白人ラッパーはかつてはエミネムですら、黒人リスナーからラップ扱いされないことがあったのに、今はそうではないからな。もっとも、この「サークルズ」、さすがにR&Bチャートではヒットしていないが。

⑤オールド・タウン・ロード/リル・ナズ・X ビリー・レイ・サイラス

まぁ、名曲と呼べるかどうかは分からないが、全米シングル・チャートで長らく破られなかった首位獲得週数の記録を塗り替えた曲なんだから(19週ナンバー1)、音楽マニアとしては一応、今年の曲として、これを挙げておかないとって感じかな。

まぁ、19週のうち、最初の1週目はオリジナル版でのヒットで2週目からがビリー・レイ・サイラスをフィーチャーしたリミックス・バージョンによるものなので、それを合算して19週連続ナンバー1としていいのかは疑問だが。2年前にこれまでの記録保持者(16週)に並んだ「デスパシート」もジャスティン・ビーバーをフィーチャーしたリミックス・バージョンのおかげでヒットできたようなものだからな…。そう考えると、それまでの記録保持者だったマライア・キャリーとボーイズⅡメンの「ワン・スウィート・デイ」はすごいなと改めて思う。まぁ、これもコラボ曲だけれどね。

それにしても、フィーチャリング・アーティスト、しかも、リミックスとはいえ、ビリー・レイ・サイラスが2019年に自己最大のヒットを出すとはね…。カントリー・チャートでは何曲かヒット曲があるけれど、総合(ポップ)チャート的には1992年の「エイキィ・ブレイキィ・ハート」の一発屋だからな…。マイリー・サイラスの父ちゃんとしてしか認識していない人もいるだろうな…。

 

≪参考≫

2010年代ベスト・ソング

サムシング・ジャスト・ライク・ディス /ザ・チェインスモーカーズ & コールドプレイ

この10年間でコールドプレイの曲を年間ベストに選んだのは2017年のこの曲を含めて3回(残りは2014年の「ア・スカイ・フル・オブ・スターズ」と2016年の「ヒム・フォー・ザ・ウィークエンド」)。それだけ、アンセムを連発したってことかな。その中でこの曲をディケイドのベストに選んだのは、コールドプレイの東京ドーム公演での観客シンガロングが素晴らしかったから。

f:id:takaoharada:20191231234547j:plain