自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

新型コロナウイルスとチケット払い戻し問題

新型コロナウイルスの感染拡大以降、様々なコンサートや演劇、イベントなどのライブ・エンターテインメントの公演が中止・延期となっている。

その対応を見ると、国内のみならず海外も含めてエンタメ業界って自転車操業だらけで、中止・延期に伴い迅速かつファンに損をさせない払い戻しをしているところは極めて少ないというのを実感する。
中には、緊急事態宣言が出されて以降の予約受付で、明らかにこの日程では開催は無理だろうという状況なのにチケットを発売し、結局、中止・延期にしているのも結構あるし。
フジロックなんかも、日経の予定原が流出した際には、やる気マンマンの姿勢で、あれは誤報だという雰囲気をアピールしていたのに、それから、わずかな日数しか経っていないのに中止になるんだからな…。しかも、毎年やっているイベントを来年に延期するから中止ではなく延期だみたいなワケの分からないことを言っているしね…。
夏季なら4年に1度、冬季も含めれば2年に1度の五輪が翌年開催に変更するのは延期だけれど、毎年やっているフェスを翌年開催するのは延期でもなんでもないだろ!
結局、明らかに中止・延期になるのは分かっているが、いったん、自分たちの手元に金を集めて、何とかやり繰りしてから返金したいってことなのかな?

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というわけで払い戻し対応の話に戻るが、一番ダメダメなのは、CD購入者特典として抽選で招待する系のライブやイベントだな…。自分の記憶にある限り(1つは応募したことを忘れていた…。メールが来て思い出した)では少なくとも4件の応募をしているが、そのほとんどは対応策が明確になっていないもんな…。あくまでもCDを売っているんで、ライブやイベントの参加はオマケと言うなら、「イベント応募券付CD」なんていう名義で売るべきではないね。少なくとも、この名義で売ったなら、一定額の払い戻しもしくは、購入者に、ステッカー1枚でもいいからプレゼントするとか、そういう姿勢を見せて欲しいと思う。

招待制ライブ等ではない、通常のチケット販売によるコンサート等の払い戻しも対応が悪い会社が多いなと思う。

唯一、きちんとした対応だったと言えるのが内田真礼横浜アリーナ公演のチケットを購入したきゃにめ(ポニーキャニオン)かな。
チケット代8800円、送料550円の合わせて9350円がクレジットカードで引き落とされたが、わずか3週間後には送料含めた全額がカード会社経由で返金された。なので、カード会社の請求書上では同じ月内でいったん請求されたものが返金される形になっている。ただ、緊急事態宣言が出されて間もない時期なのに(=明らかに開催の可能性が低い)、チケットを発売し、そのわずか10日ほど後に、やっぱり中止ってのはどうなんだろうかとは思うな。自転車操業で一時的に金が欲しかったパターンに見えてしまうな。

 

メジャーなチケット業者で一番対応が迅速で、しかも払い戻しの仕方も良かったのはイープラスかな。毎回、チケット発売日にはサーバー が落ちまくりで大不評のイープラスだけれど、今回のコロナの影響による払い戻し対応では圧倒的に他社より良かった。
IDORISE!!というフェスのチケットを購入したが、チケット代7000円、手数料220円の合わせて7220円全額がカード会社経由で戻ってきた。
まぁ、電子チケットだから迅速に対応できたというのもあるのだろうとは思うが。逆に言えば、電子チケットで手数料を取るのも意味不明だよな…。チケット会社の通信費?
ただ、フェスの運営側がギリギリまで開催の可否を発表しなかったのは危機管理がなっていないとしか言えないかな。出演者が多いから調整が難しいというのもあるのだろうが、ただでさえ、偏見の目で見られるアイドル業界なんだから、そこはしっかりしようよとは思ったかな。

 

かなり腹立つ対応だったのはローチケ。ここではTrySailの東京ガーデンシアター公演のチケットを購入した。会場側が少なくとも9月までは営業が難しいと言っているのに、6月下旬の日程でチケットを売るのは詐欺レベルだと思うし、会場問題がなくても、コロナ禍であるということはこの規模のコンサートをやるのは無理なのは明らかなのに、発売したこと自体、意味不明ではあるが。まぁ、ファンとしては無理だと分かっていても、発売されればとりあえず購入するからね…。つまり、これも当面の資金繰りの金が欲しかったから、とりあえず、チケットを売ったと推測されても仕方ないパターンかな…。
それにしても、ローチケの払い戻しの仕方は腹が立つ!公演が中止され、チケットそのものが発券されていないのに、「払戻券」なるものが郵送されてくるために配送手数料825円は返金されない…。ペラペラの紙を入れた封書の簡易書留なら404円なのに、倍以上の金を取っているという通常の対応も腹立つが、そもそも、クレカ引き落としで発券もされていないんだから、カード会社経由で手数料含めて全額返金できるだろって言いたい。きゃにめやイープラスはきちんとやっているんだしね。普段はやっていなくても、こういうご時世なら、そういう対応するのが企業イメージを良くする方法だとは思わないのかな?
で、その払戻券をローソン店舗に持っていくことにより、チケット代7500円は全額返金されたけれど、配送手数料825円はこの払戻券の郵送という形でボッタクられたために戻ってこず。そして、さらに、先行サービス料とシステム料の合わせて770円というのも取られているのだが、これに関しては払戻券と合わせて郵送された「各種手数料券」という別のチケットが送られてきた。
こういうのがあると、返金されるのかと思うが、何と、このチケットには「公演中止等の理由による払い戻し時でも、各種手数料の払い戻しはいたしません。公演中止等で各種手数料が払戻し対象となった場合にこの券が必要となります」という意味不明なことが書いてある。要は払い戻しする気がないのに、払い戻し用のチケットを発券し、その手数料で金を巻き上げているということ。いい加減にしろ!って感じ。
しかも、結局、チケット代しか払い戻さないのに、端末やレジでは、払戻券と各種手数料券の両方が記録されているから、ローソンの店員は「何故、払い戻しできないの???」状態になってしまう。今回、払い戻す時なんか、店長が出てきて、本部に問い合わせしてくれていたしね。
結局、ローソン本部がオーナーや客から搾取するために、こういうシステムを作ったとしか思えない。店も客も得をしないクソなシステムだ!
それにしても、ローソンって頭悪いのか?「払戻」「払い戻し」「払戻し」と表記がバラバラ!統一しろよ!

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そして、今回のコロナ対応返金で一番ムカついたのがチケットぴあ。どの業界でも、パイオニアの座に胡座をかいているうちに、クソな企業になっていくというのはよくあるが、ぴあはまさにそんな会社の一つだな。
今回、チケぴで購入したのは延期になった眉村ちあきの公演。主催側は延期ではあるが、いったん払い戻すという対応を取ることにした。それは良心的だとは思う。でも、ぴあがクソだね。
チケット購入時にチケット代5000円以外に、サービス料として990円が取られていた。そして、払い戻しが決まった際に、チケットをぴあに送り返す送料404円(簡易書留)もこちらもち。合わせれば1394円もの手数料を取られていることになる。
しかも、最初は手続きを取ってから返金手続きができる伝票が届くまで3〜4週間とか言っていたのに、いつの間にか、半年かかることもあるとか言い出してきたからね…。
まぁ、その中間の3ヵ月で伝票は届いたが…。
そして、返金される額は5220円だった。チケット代は5000円なので多少は手数料を返す気はあるという点ではローチケよりはマシなのだろうが、中途半端な220円って何?チケットを送り返す代金にすらなっていないし…。

 

音楽業界は音楽ソフトが売れないから、ライブ・エンターテインメントで儲ける方向にシフトしていた。でも、実際は自転車操業だらけ。というか、チケット料ではなく、会場で売るグッズ等で稼いでいるから、こういうグダグダな対応になるのだろうなというのはよく分かるな。まぁ、コロナを機に、これからのウィズ・オア・アフター・コロナの世界はライブ・エンターテインメントも抜本的な改革が必要ってことかな。