自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒

まぁ、絶賛するほどではないが、酷評するほどでもないって感じかな…。
バットマン」絡みでいえば、賞レースを賑わせた「ジョーカー」という名作がある一方で、個人的には好きだが一般的には酷評されている「スーサイド・スクワッド」もある。さらに、こちらは個人的にも微妙だと思う「バットマンvsスーパーマン」まである。なので、「バットマン」要素だけでいえば、どっちなんだろ?という期待と不安が混じった感じにはなると思う。

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ただ、不安要素が増す要因もある。ここ最近多く作られている、人気シリーズをガールズ・パワーを表に出した作風で作り直したものには、「ゴーストバスターズ」とか「チャーリーズ・エンジェル」とか微妙な作品が多い。この作品も明らかに、イメージ的にはその路線だ。そして、こうした作品には人種の配分などマイノリティを意識したものも多く、本作にアジア系、アフリカ系のキャラクターが出てくるのもその流れだろうし、こうしたマイノリティに配慮した映画には正直言って、ダメダメな作品も多い(シリーズものやリブートものを問わず)。なので、若干不安要素の方が強かった。

 

でも、実際に見てみると、ちょっとした娯楽としては十二分に楽しめる作品だった。ぶっちゃけ、同じDC系でなおかつコミカル路線の作品でいえば、「アクアマン」や「シャザム」より面白かった。


それから、ネットではマーゴット・ロビーが劣化なんて言われていたが、「スースク」同様かなり可愛かったので、こちらの面でも不満はなし。
あと音楽の使い方も良かった。特に良かったのはジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの「いけないアナタ」。日本での人気が落ちてしまった時期のヒット曲なので、日本ではあまり知られていないが、よく映画に使われるよね。カッコいいしね。

 

まぁ、クエンティン・タランティーノガイ・リッチーみたいなことをやろうとして空回りしているみたいな批判の声があることについては、「確かにね!」って思うかな。
時間軸を行ったり来たりする構成とか、登場人物の相関を入り乱れさせたりとか、音楽の使い方もそうだし、テロップやナレーションの多様もそう。でも、アクション描写はかなりハリウッド映画にしては頑張っていたんじゃないかなとはと思う。

 

というか、衝撃的だったのは、アジア系女性キャラクターだな…。いかにも欧米人がイメージするアジア系女性みたいなのが出てくるが(要は我々、アジア人から見ると微妙なルックスのアジア女性)、彼女が子どもだということ。予告やチラシから受けたイメージではアラサーくらいだったので、本編を見て子どもと分かった時は衝撃を受けたな…。

 

それにしても、映画館ガラガラだ…。駅や商店は混みだしてきて、この緊張感のない人たちは何?世界と比べて呑気すぎんだろ!って感じてしまうが、映画館は変わらずガラガラだ…。自分は不規則なシフトの仕事をしているので、平日の午前中の回に映画館へ行くことも多いが、それでもこの時間帯でも、大コケ映画でない限りはそこそこ入っているのに、5人いるかどうかだったからな…。
五輪の中止・延期に対して不満を言う体育会系脳の連中も、五輪は中止しろとか言いながらコミケの中止・延期はするなという自分勝手なオタクも、コンサートや演劇の延期・中止に賛否両論の声をあげる人たちも構わず、花見をやったり、買い物に行ったりするようになって、「は?」って感じだが、何故かそういう人たちも映画館には行かないようだ。
世界情勢を鑑みれば、一時的に休館した劇場はあるにせよ、ほぼ通常営業している日本の映画館というのは謎で仕方ない。邦画3大メジャーが金儲け主義で休館する気がないんだろうなというのがよく分かる。3大メジャーは一応、春休み映画の公開を延期したけれど、東宝東映はあっさりと新たな日程を発表しているし、東宝に至っては「コナン」を延期する気が全くないようだし。ハリウッドや中国映画界、韓国映画界とは全く対応が違いすぎるよね。ハリウッドの話題作が公開延期となったすきに、国産作品で儲けまくろうという魂胆なのが丸見えだ。
とはいえ、映画館が営業していれば行ってしまうのが映画ファンの性。なので、「日本も映画館を休館にしろよ!」と思いつつ、つい行ってしまう…。でも、これだけガラガラなら新型コロナウイルスに感染する確率は低いのでは?とも思えてくる…。

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