自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

都内でも営業再開 2ヵ月ぶりの映画館

やっと、都内の映画館が営業を再開したので、ちょうど2ヵ月ぶりに映画館で映画を鑑賞した。こんなにも長い期間、映画館に行かなかったのは、24年7ヵ月ぶりくらいだと思う。その時は、当時レギュラーで就いていた番組で企画コーナーD、OAディレクター、ADチーフを兼務していた上に、一応正社員として所属していた(ボーナスも出ないし、住民税もこちらで払わなくてはいけなかったし、退職金も出なかったが…)プロダクションの仕事も押し付けられ、尚且つ、毎週のように飲み会にも半ば強制参加だしで、映画館に行く時間がなかったというのもあるが、そこへ来て、そのレギュラーで就いていた番組で派閥争いに巻き込まれて無能扱いされ、20代前半で窓際族扱いにされたりもして精神的なストレスも増大し、映画館へ行く気力も起きなかったというのもあった。
なので、丸2ヵ月ほど映画館に行かなかった後、数回劇場に復帰したものの、また、2ヵ月弱くらい行かなくなったという時期もあった。
そんな心身ともにヘビーな時代以来の出来事なわけだから、いかに今が非常事態なのかということを実感できる。

そして、土曜日に映画館に行ったということになると、これは実に12週間ぶり。つまり、ほとんど3ヵ月ぶりになる。
こういう事態は、土曜日が基本、出勤日になっていた時を除けば、高校生の頃まで遡らないとないことかもしれない。先述した四半世紀前ほどの時でもこうしたケースはなかったはず。
高校までは、学校の都合とか、家族や友人の都合などで映画館へ行くのは日曜日が多かったが、高校卒業後は土曜日の鑑賞がメインになっていた。
仕事が入っている。体調が悪い。冠婚葬祭。1日がかりの人と会う用事がある。あるいはソロ活動でも映画以外の趣味(たとえば、ライブとか)で1日がかりの用事がある。
といった時を除けば、基本、土曜日は映画館へ通う曜日だったので、そんなにも長い期間、土曜日に映画館へ行けなかったというのは、いかに今が戦時中レベルの危険な世の中なんだなというのを感じさせられてしまう…。

そんなわけで、やっと映画館が再開したのだから、映画好きとしては、多少の危険は承知の上でも映画館に行きたいと考えるのが性だと思う。
でも、見たい作品、気になる作品は、新作不足の穴埋めで上映されている作品、自粛モード前に上映していた作品の続映、再開後に上映がスタートした作品などを問わず圧倒的に新宿で上映されているものが多いんだよね…。
さすがに今は、仕事でもない限りは、ウイルスがはびこる夜の街のイメージが強い新宿には寄りたいとは思わないよね…。
ということで、地元・墨田区のTOHOシネマズ錦糸町で見ることにした。

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座席のみならず、券売機もソーシャルディスタンシング状態になっていたのには驚いた。そして、入場の際に観客一人一人をサーモグラフィーの前に立たせて細かく体温チェックしていたのにも驚いた。
クラスター化した某テレビ局ですら、一人一人、機材の前に立たせて体温チェックするなんてことはしていなかったし、緊急事態宣言下でも営業していた飲食店なんかはサーモグラフィーすら設置していない店がほとんどだったのだから、いかに、シネコンが慎重にコロナ対策をやっているかが分かる。

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にもかかわらず、客席はガラガラだった…。

まぁ、そうだよね。感染の可能性がわずかでもあるところになんて行きたくないだろうね…。結局、芸能や芸術が不要不急扱いされるのは、そういうことなんだろうね…。

そして、館内に置いてあるチラシが全段全て同じ作品になっている光景を見て、再開後の上映スケジュール調整で現場が混乱しているのがよく分かった。来週以降、公開ラッシュになっているように見えるけれど、実はほとんどが小規模公開作品だし、拡大公開作品も邦画は大きなヒットが望めそうにもない作品、洋画はとっくの昔に海外では公開されている作品ばかりだからね。とりあえず、劇場公開作品という箔だけ付けて、何とか処理したい作品が多いって感じかな。

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コナンの新たな公開日が設定されないのも、再開されても再上映作品が多いのも、感染防止の観点から客席をフルに稼動することができない上に、その縮小されたキャパですら動員するのが難しいって状況だし、しかも、一人一人サーモグラフィーで体温チェックするというのではとてもさばききれないしね。そんな状況じゃ、ヒットが期待される作品なんてかけられないからね…。

まぁ、米国でクリストファー・ノーラン監督の新作が来月公開されるが、これの興行成績や観客の反応などが、日本を含めた世界の映画興行の今後を決めるのかなという気はするな。それまでは再上映作品や、とりあえず、劇場公開作品の箔付けが欲しい作品の穴埋め上映でしのぐことが多くなりそうだなという気はする。
まぁ、海外ではとっくの昔に公開されている作品でも見るのが待ち遠しいものはたくさんあるけれどね。