自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

2020年上半期ベスト映画

今日で上半期が終わり。

ということで1〜6月にスクリーンで見た新作映画の本数を改めて数えてみた。

別バージョンや、併映の短編作品をカウントしないと、この期間に鑑賞した作品は45本だった。おそらく、過去最多の鑑賞本数だったと思われる2016年の87本(年間では169本)と比べるとおよそ半分。去年の76本(年間では166本)と比べても大幅減だ。

過去15年間で年間鑑賞本数が100本に届かなかったのは東日本大震災のあった2011年だけだが、その時以来の低水準となってしまった。

あの時は、営業休止期間はほんの一瞬だったが、余震に警戒というか安全面を考慮して、しばらく鑑賞本数が減っていたって感じだった。でも、今回は映画館そのものが長期間営業していなかったからな…。

 

都内ではミニシアターなど一部の映画館が2月下旬から3月中旬にかけて休業。

その後、再開したが、東京都が自粛要請を出したことにより、3月下旬より今度はシネコンを含むほとんどの劇場で土日は休業となってしまった。しかも、営業していた平日も座席数を減らしてのチケット販売。

さらに、その2週間ほど後に政府の緊急事態宣言が出されて以降は土日のみならず平日も映画館の営業が休止。この時は都内・首都圏のみならず全国的に休止になってしまった。

そして、緊急事態宣言が解除され、6月になって都内でも映画館の営業が再開されたものの、販売座席数は相変わらず減らされたままだし、多くの作品が公開延期となったまま。あるいは、解除後でも新たに公開延期を発表する作品があるという状況。

 

東京の新型コロナウイルスの感染状況は全然、収まらないから、そりゃ、映画館に行くのなんて怖いって思う人がいるのは当然だよねとは思う。

だから、配給会社も新作の公開にはなかなか踏み切れないしね。ミニシアター系作品はすぐにでも金が欲しい。劇場公開作品という箔をつけてソフト化したい等の思惑があるのか、比較的公開を急いでいるフシがあるが、全国公開作品はかなり慎重になっているしね。

また、ハリウッド作品なんかは、米国の感染状況が依然として悪化したままなので、なかなか新作が公開される雰囲気にもなっていない。

そんな現状なので、映画館の営業が再開されても新作不足が続いていて、閑古鳥が鳴いているのが事実。自分以外誰もいない状態で見るハメになったこともあったしね…。

だから、金儲けには目がないというか、がめつい東宝ジブリ作品の再上映という手段に出たりしたんだろうね。

 

‪このご時世に映画館に密を作るなんて、非常識と言われても仕方ない状況で、ジブリ作品を再上映し、目論見通りに映画館に人を集め、しかも、観客動員数ランキングの上位を独占状態しているのを見ると、そういえば、大元をただせば、東宝って関西発の企業だったんだなというの思い出す。金になるなら何でもいいという関西スピリッツを感じる…。

 

しかも、ジブリの再上映にやってくるのは若者を中心としたヘビーユーザーでない人ばかりだからね。若者は最近、コロナの感染が拡大していると、国や都に悪者扱いされているけれど、感染しても、重症化しないケースが多いから、気にしないんだろうね。おそらく、映画館で見たことないジブリ作品を映画館で見るというイベント感覚なんだろうね。

緊急事態宣言が出される直前もしくは、解除後に再上映された作品の多くは映画やアニメに精通している人向けの作品か新海作品のようなリピーターの多い作品が中心だったけれど、ジブリ作品はそういうのとは違うからね…。

 

それにしても、あれだけ映画館にいたシニア層が戻ってこないね…。まぁ、年齢が高いほど、持病があるほど、重症化のリスクは高いとされているから、不特定多数と接する映画館に行くのは、彼等にとっては自殺行為にも近いのかもしれないしね…。

 

というわけで、今後の感染状況によっては9年ぶりに年間鑑賞本数が二桁に終わる可能性も出てきてしまったが、とりあえず、今年の上半期時点での私のベスト作品は以下の通り。

 

≪洋画≫

①リチャード・ジュエル

クリント・イーストウッド監督が共和党支持者というだけで賞レースから無視する最近の米エンタメ界への怒りをこめて。本作もキャシー・ベイツ助演女優賞候補以外、各賞で無視状態だったし…。

②フォードvsフェラーリ

ジョジョ・ラビット

④1917 命をかけた伝令

アカデミー作品賞候補作品ばかり。本当、今回のアカデミー作品賞にノミネートされた作品は秀作揃いだった。ちなみに、「パラサイト」は年末に先行上映されたので、2019年公開作品として除外しました。

⑤エクストリーム・ジョブ

「パラサイト」もそうだけれど、韓国映画のパワーを感じる作品。

 

≪邦画≫

①さよならテレビ

②劇場版 SHIROBAKO

③もみの家

④ラストレター

⑤一度死んでみた

申し訳ないが、例年ならトップ20にも入らないレベルの作品ばかり。

 

≪ワースト(邦洋問わず)≫

●シグナル100

ヲタクに恋は難しい

甲乙つけがたいクソ映画なので、2作同時にワーストに選定。

ちなみに海外で酷評されていた「キャッツ」はそんなに酷くなかった。おそらく、CGの気持ち悪さやエログロ描写で嫌悪感を抱いている人が多いのは事実だろうが、黒人が悪役になっているのがリベラル層の多いハリウッドで嫌われている要因ではないかと思う。

❝黒人に対する差別を反省しない作品は過去の名作でも許さない❞

❝黒人の役は黒人以外にやらすな!でも、白人の役は黒人にもやらせろ!❞

という最近のよろしくない風潮の流れなんだろうね。トランプ政権が続く限り、米エンタメ界はおかしなポリコレが進む一方なのかな…。

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