自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者

今週末公開予定作品で見たいと思っていたハリウッド製ホラー映画「ザ・スイッチ」、アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の総集編映画がいずれも、緊急事態宣言発令の影響で公開延期になったので、この2本より優先度は低いが、時間があれば見に行こうくらいにしか思っていなかった作品で、短編2本をまとめた「夏目友人帳」のイベント上映的なものを見ることにした。

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正直言って、いわゆる腐女子向け作品というのは苦手だ。理由はイケメンのキャラが出ていれば満足みたいなファンのために作られているので、内容のない作品が多いからだ。今でいうところのBLモノが、かつて、ヤマなし、オチなし、イミなしの“ヤオイ”系と揶揄されていたのは、そういうことだと思う。自分も、これまでのテレビや映画などの「夏目」シリーズをそうした作品の一つだろと思い敬遠してきた部分はあった。

 

今回の作品も見始めてからしばらくは、そういう感覚を抱いていた。でも、最初のエピソードのAパートが終わったあたりから、この作品の世界観に引き込まれていった。負け組のモノたち、疎外されたモノたちの生き様みたいなものを感じ、それと同時にそうしたモノたちの姿に勇気付けられ、癒されているような気分にもなった。まぁ、泣ける作品が好きな日本の女性がハマるのも分かるよねって思った。

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それにしても、映画館の行き帰りで街中を歩いていると、本当に今は緊急事態宣言下なのだろうかと思う。40代以上で“コロナは風邪”とぬかしているのは、ほとんどがネトウヨだと思うが、30代以下に関しては、思想信条や収入、職業などに関係なく、ほぼ全員が“コロナは風邪”論者なのではないかという気がしてきた…。我々、団塊ジュニアは厳しい競争社会を生まれて以来ずっと歩んできたので、病欠する=仕事を失う=収入が減るという意識が強いので、変な病気にかかって、最低でも数週間の社会的活動を停止させられるのは恐怖でしかないが、ゆとりとか、それよりも下の世代にはそういう感覚がないんだろうなとふと思った。

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結局、「ザ・スイッチ」や「ヤマト」は、コロナに慎重なオーバー40の男性向け作品だから公開を延期し、「夏目」は“コロナは風邪”と思っている30代以下の女性がターゲットだから、公開を強行しているってことなんだろうな。