自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

「映画秘宝」恫喝騒動を考える

映画秘宝側の作品や俳優などに対するモノの見方に疑問を呈した人に対して、編集長が直接、反論のDMを送りつけるだけでもありえないのに、“そんなことを言われたらショックで死にたくなる”=“自分が死んだらお前のせいだ”という脅し文句まで書きつけてくるのだからこの編集長は非常識もいいところ。

しかも、コレが同業者や映画業界関係者、秘宝読者といった“身内”に対する攻撃ならまだしも(それでも良くないけれどね)、秘宝を読んだこともないような女性に送りつけているんだからタチが悪い。

ネット上で言われているように、自分より立場の低い一般女性でストレス解消して楽しんでいるとしか思えない。

さらに、出版社(双葉社)側が被害者の連絡先を編集長に教えたという情報もあるが、これもありえない。編集長や映画秘宝編集部のみならず、双葉社にもコンプライアンスの意識が全くないというのが明らかだ。

 

ただ、被害者側に中二病から抜け出せないまま中高年になったオタクを見下すような視線があったことは事実だと思う。少なくとも、何らかのオタク要素を持っている自分からはそう見えた。なので、そうした被害者によるオタク蔑視が秘宝編集長を激怒させた部分もあったのではないかとも感じている。

 

ホモソーシャルという言葉は編集長が被害者の発言をまとめて言ったのか、それとも、被害者の原文に元々あるのかは知らないが、少なくとも、そういうニュアンスの言葉があったということは、やっぱり、オタクを見下しているんだと思う。ところで、ホモソーシャルって言葉って、差別的な言葉にはならないんだね…。性的・恋愛的な意味を持っていないからホモって言葉が含まれていても差別用語にならないって、何か、それも差別だよねって気もするのだが…。

 

でも、被害者側にオタク蔑視の視線があったとしても、編集長が一般人に恫喝DMを送りつけるのはありえないけれどね。同じマスコミに属する人間から見ても、所属団体の名前を使って、一般人を恫喝するなんて信じられない。今後、この編集長にはマスコミに関わる仕事から足を洗ってもらいたいと思う。

 

それにしても、今回の騒動で改めて思ったが、映画秘宝って権威になってしまったよね。本来はキネマ旬報とかスクリーンのような権威的映画雑誌に対するカウンターカルチャーだったはずなのにね。

要は音楽に例えれば、オルタナティブなんて呼ばれていたジャンルが、90年代にその名前とは裏腹にロックの主流になってしまったこととも似ているのかな?オルタナ系のアーティストや、そのファンがそれまでのロックの主流だったハード・ロックヘヴィ・メタルを見下すようになった感じに近いのかな?

 

秘宝は映画雑誌界の権威になったことによって、自分たちは何を言っても許されると勘違いしてしまったんだろうね。カウンターカルチャーだった時は、何を言ってもキネ旬には無視されていたけれど、今ではキネ旬よりも売れる映画雑誌になってしまっているからね。

 

今回、秘宝に対する批判が一気に拡散したが、これって、秘宝の重鎮である町山智浩が安倍政権・菅政権やトランプ政権の批判を繰り広げ、ネトウヨに目をつけられるようになったことが要因だと思う。だから、町山批判につながるならと、普段は女性蔑視発言を繰り返しているネトウヨも女性に対する恫喝騒動の拡散に協力したのでは?

 

でも、町山発言って、矛盾だらけなんだよね。安倍や菅、トランプの各政権が差別主義だと批判するくせに、自分は差別しまくっているんだよね。

海外セレブは呼び捨てにするくせに、日本の芸能人や映画人には取材を受けてもらえなくなると困るからか、さん付けしているしね。

まぁ、福田雄一あたりのような完全に秘宝読者に嫌われるタイプの作品を作っている人は呼び捨てにしているけれどね。

 

それから、アレだけ、トランプ政権を批判し、リベラル的な主張をしておきながら、日本で巨乳キャラが公共的な広告などに使われることに関しては全く問題ないという矛盾した意見を言っているしね。それって、女性蔑視しているわけだしね。あと、松江哲明の撮影時のセクハラ・パワハラ問題もスルーだしね。全然、筋が通っていないんだよね。

 

結局、単なるわがままなボンボンだから、自分や身内に甘いんだよ。町山に限らず、秘宝の連中って。金も時間も自由に使える連中がそのまま、ロクに苦労もしないまま、趣味を仕事にするチャンスを手に入れ、そして、そのまま中高年になってしまったって感じなんだろうね。結局、町山が批判している保守系政治家とやっていることは同じなんだよね。

 

今回の映画秘宝編集長による“DM恫喝騒動”は映画秘宝を2度目の休刊にすべき事案だと思う。というか、心から被害者に対して謝罪の気持ちがあるのであれば、休刊などという綺麗事の言葉を使うのではなく、廃刊を宣言すべきだと思う。

f:id:takaoharada:20210126130514j:plain