自腹批評

テレビ番組制作者が自腹で鑑賞したエンタメ作品を批評

ヒックとドラゴン 聖地への冒険

ドリームワークスのアニメーション映画がユニバーサル扱いになり、日本で東宝東和配給になるようになったが、結局、久々の正規日本公開作品となった「ボス・ベイビー」以降でも、日本未公開の作品があるし、本作も東宝東和とギャガの共同配給だからな…。「ボス・ベイビー」はたまたま当たっただけで、日本じゃドリームワークスのテイストは受けないって判断なんだろうな。「ボス・ベイビー」は海外アニメーションに詳しくない人が見たら、同じユニバーサル扱いのイルミネーション作品に見えるしな…。そういえば、ドリームワークスのロゴ、いつ変わったんだ?

 

このヒックとドラゴン」シリーズは、障害を持った人間と同じく障害を持ったドラゴンがコンビを組む話なんだから、賞レース受けはいいよねと1作目の時から思っていたが、今回の3作目は「イスラエル問題」(聖地を求めて民族大移動するなんて、そのものだよね)や「MeToo」(女性の活躍や男女の結婚観みたいのも描かれている)、「温暖化問題」(ドラゴン狩りをする連中はクジラとかを獲ることの批判にもつながるのかな)なんかにも通じる部分もあるし、さらに賞レース向きの内容になったなという感じかな。

 

そりゃ、「天気の子」なんかが賞レースで相手にされないわけだよね…。異常気象を描いていても環境保護を訴えているわけでもないし、未成年の子どもたちが出てきて、銃を使ったり、風俗に誘われたりしても、貧困とか犯罪、児童売買春の問題を描いているわけでもないからね…。

「ヒック」同様ハリウッド組の「アナと雪の女王2」や「トイ・ストーリー4」はバリバリ、リベラル的メッセージが入っているし、フランス製の「失くした体」は社会性が強いしね。でも、日本のアニメーターやアニメオタクはネトウヨ思想にかぶれたのが多いから、国際的な賞で評価されるような社会性の強い作品は作れないしね。

「アナ雪2」なんて、先祖の犯した問題を償おうって話だからね。日本でたとえれば、南京大虐殺従軍慰安婦、徴用工を素直に認め、謝罪し、場合によっては自らの領土が犠牲になることも考えろって話だからね。日本じゃ、そこまで踏み込んだ作品なんて作れないでしょ。

しかも、日本のアニメーターにしろ、アニメオタクにしろ、CGアレルギーの連中が多いから新しい技術で評価されることもないしね。

ハリウッド製は社会性も強いし、新技術もバンバン導入するからね。新海作品のような、ただ画がキレイ、キャラデザがいい、話が面白いだけじゃ、欧米の賞レースでは評価されないよねって思う。

まぁ、今回、アカデミー長編アニメーション賞にエントリーされた(=ノミネート資格を得た)日本製のアニメ映画でいえば、「海獣の子供」が唯一、社会性で評価される作品かなとは思う。アート性も強いしね。

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